洗碑会
第17回 洗碑会
平成24年5月 於 小石川・伝通院
小雨の降る中、小石川・伝通院において、恒例の洗碑会が行われた。完成間近だった山門もようやく落成し、今までとはまた違った趣のある佇まいとなった。境内も震災前の落ち着きを取り戻しつつあるように思われる。
会には中村素堂先生のご親族、弟子、孫弟子にあたる方、大正大学書研の学生など、所縁のある十九名が参加した。午後四時三十分、次第に則って開始され、参加者全員による菩薩願行文、般若心経のお唱え、そして会長の赤平泰処先生をはじめとした代表者による洗碑の儀へと続いた。最後は記念撮影で締めくくり、午後五時に散会となった。
会長挨拶の中で、赤平泰処先生が「碑は自分で洗うから、と中村素堂先生が我々を気遣って雨を降らせたのではないでしょうか。」と述べられたが、素堂先生へ思いを馳せているかのようであった。確かに碑は雨に濡れていたものの、普段は煩わしさを感じる桜の枝葉が、この日ばかりは碑の雨除けをしているようにも見えた。さながら、我々に合わせて傘をお持ちになった素堂先生が後ろから見守って下さっているようでもあった。
思えば、今年の七月で中村素堂先生がご逝去されて早三十年の歳月が流れる。果たして自分は素堂先生が創設された貞香会の一員として、遺志を理解しているだろうか。また書を学ぶ者として、師の思いや会の歴史を基盤に据え、それを発展させた上で勉強ができているだろうか。僭越ながら、そんなことをふと考えてしまった。
兎にも角にも、次回以降多数の方々が洗碑会へ参加され、資料や文献だけでは知り得ない中村素堂先生にまつわるお話が聞けることを願わずにはいられない。(秋田谷岱空)
雨に光る中村素堂先生記念碑
全員で菩薩願行文、般若心経を唱える
傘をさしての記念撮影
会には中村素堂先生のご親族、弟子、孫弟子にあたる方、大正大学書研の学生など、所縁のある十九名が参加した。午後四時三十分、次第に則って開始され、参加者全員による菩薩願行文、般若心経のお唱え、そして会長の赤平泰処先生をはじめとした代表者による洗碑の儀へと続いた。最後は記念撮影で締めくくり、午後五時に散会となった。
会長挨拶の中で、赤平泰処先生が「碑は自分で洗うから、と中村素堂先生が我々を気遣って雨を降らせたのではないでしょうか。」と述べられたが、素堂先生へ思いを馳せているかのようであった。確かに碑は雨に濡れていたものの、普段は煩わしさを感じる桜の枝葉が、この日ばかりは碑の雨除けをしているようにも見えた。さながら、我々に合わせて傘をお持ちになった素堂先生が後ろから見守って下さっているようでもあった。
思えば、今年の七月で中村素堂先生がご逝去されて早三十年の歳月が流れる。果たして自分は素堂先生が創設された貞香会の一員として、遺志を理解しているだろうか。また書を学ぶ者として、師の思いや会の歴史を基盤に据え、それを発展させた上で勉強ができているだろうか。僭越ながら、そんなことをふと考えてしまった。
兎にも角にも、次回以降多数の方々が洗碑会へ参加され、資料や文献だけでは知り得ない中村素堂先生にまつわるお話が聞けることを願わずにはいられない。(秋田谷岱空)
雨に光る中村素堂先生記念碑
全員で菩薩願行文、般若心経を唱える
傘をさしての記念撮影